成年後見制度の使い方を分かりやすく解説|2026年最新版|申立から利用まで
認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分になった方を法的に保護・支援する「成年後見制度」。2026年現在、高齢化社会の進展とともに、この制度への関心と利用者数は年々増加しています。しかし、制度の仕組みが複雑で「どのように使えばよいのか分からない」という声も多く聞かれます。
本記事では、成年後見制度の使い方について、申立の方法から実際の利用まで、初心者の方にも理解しやすいように詳しく解説します。制度を検討中の方や、ご家族のために情報収集をしている方は、ぜひ参考にしてください。
成年後見制度とは|基本的な仕組みを理解しよう
成年後見制度は、判断能力が不十分な成年者を保護するための法的な制度です。認知症、知的障害、精神障害などにより、自分で契約を結んだり、財産を管理したりすることが困難になった方に対して、家庭裁判所が選任した後見人等が代理で法律行為を行います。
制度の目的と意義
成年後見制度の主な目的は以下の通りです:
- 財産管理:本人の財産を適切に管理し、悪質商法などから保護する
- 身上監護:医療や介護、施設入所などの生活に関する契約を支援する
- 権利擁護:本人の意思を尊重しながら、最善の利益を図る
2026年現在、成年後見制度の利用者数は約25万人を超え、社会的なインフラとして重要な役割を担っています。
法定後見制度と任意後見制度の違い
成年後見制度には大きく分けて2つの種類があります:
法定後見制度
すでに判断能力が低下している方を対象とした制度。本人の判断能力の程度により「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分かれます。
任意後見制度
判断能力が十分なうちに、将来判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ後見人を選んでおく制度です。
成年後見制度の使い方|法定後見制度の申立手続き
法定後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立が必要です。ここでは、申立の流れと必要な手続きについて詳しく説明します。
申立ができる人
成年後見制度の申立ができるのは、以下の方々です:
- 本人
- 配偶者
- 四親等内の親族(両親、子、兄弟姉妹、祖父母、孫、叔父叔母、甥姪など)
- 市町村長
- 検察官
2026年現在、申立の約7割が子どもや配偶者などの親族によるものとなっています。
申立に必要な書類
申立には以下の書類が必要です:
- 申立書:家庭裁判所で入手可能
- 申立事情説明書
- 親族関係図
- 本人の戸籍謄本(3か月以内のもの)
- 本人の住民票(3か月以内のもの)
- 診断書(家庭裁判所指定の書式)
- 本人情報シート(福祉関係者が作成)
- 財産目録・収支状況報告書
- 財産に関する資料(通帳のコピー、不動産登記事項証明書など)
申立の費用
申立にかかる費用は以下の通りです:
- 申立手数料:800円(収入印紙)
- 登記手数料:2,600円(収入印紙)
- 郵便切手:3,000円~5,000円程度
- 診断書作成費:5,000円~15,000円程度
- 鑑定費用:5万円~10万円程度(必要な場合のみ)
審判手続きの流れ
申立から審判まで
申立書類を家庭裁判所に提出した後の流れは以下の通りです:
- 申立書類の審査(1~2週間)
- 家庭裁判所調査官による調査(1~2か月)
- 本人との面接
- 申立人との面接
- 後見人等候補者との面接
- 精神鑑定(必要な場合のみ、1~2か月)
- 審判(申立から3~6か月後)
- 審判確定・登記(約2週間後)
後見人等の選任
家庭裁判所は、本人の状況を総合的に考慮して後見人等を選任します。2026年現在の選任状況は以下の通りです:
- 親族後見人:約20%
- 専門職後見人(弁護士、司法書士、社会福祉士など):約80%
近年は専門職後見人の選任が増加傾向にあり、特に財産額が多い場合や親族間で争いがある場合には専門職が選任されることが多くなっています。
任意後見制度の使い方
任意後見制度は、判断能力が十分なうちに将来に備えて利用する制度です。自分の意思で後見人を選べるのが最大のメリットです。
任意後見契約の締結
任意後見制度を利用するには、以下の手順で進めます:
- 任意後見受任者の選定
- 信頼できる親族
- 専門職(弁護士、司法書士など)
- 法人(社会福祉法人など)
- 任意後見契約書の作成
- 公正証書による契約締結
- 任意後見登記
契約に含める内容
任意後見契約では、以下の内容を定めることができます:
- 財産管理に関する事項
- 預貯金の管理
- 不動産の管理
- 重要な契約の締結・解除
- 身上監護に関する事項
- 介護契約の締結
- 医療契約の締結
- 住居の確保
任意後見監督人の選任申立
実際に判断能力が低下した場合、任意後見契約を発効させるために家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立てます。
成年後見制度利用時の注意点とポイント
後見人等の職務と責任
後見人等に選任された方は、以下の職務を行います:
- 財産管理:本人の財産を適切に管理し、必要な支出を行う
- 身上監護:本人の生活、医療、介護等に関する契約の締結
- 報告義務:家庭裁判所への定期的な報告
2026年現在、後見人等の報酬は月額2万円~6万円程度が一般的で、管理財産額や職務内容によって決定されます。
制度利用時の制限事項
成年後見制度を利用すると、以下のような制限が生じます:
- 選挙権の制限(被後見人のみ、2026年現在は撤廃済み)
- 各種資格の制限(医師、弁護士、公認会計士など)
- 会社役員への就任制限
制度の終了
成年後見制度は以下の場合に終了します:
- 本人の死亡
- 判断能力の回復(医学的に回復が認められた場合)
- 後見開始の審判の取消し
よくある質問(FAQ)
Q1. 成年後見制度の申立にはどのくらいの期間がかかりますか?
A1. 申立から審判確定まで、通常3~6か月程度かかります。本人の状況が複雑な場合や精神鑑定が必要な場合は、さらに時間を要することがあります。2026年現在、全国平均では約4か月程度となっています。
Q2. 後見人には誰でもなれますか?
A2. 法律上の欠格事由(未成年者、破産者等)に該当しなければ、原則として誰でも後見人になることができます。ただし、最終的には家庭裁判所が本人の状況を総合的に判断して選任します。親族を候補者として申し立てても、必ずしもその方が選任されるとは限りません。
Q3. 成年後見制度を利用すると、本人は何もできなくなりますか?
A3. そんなことはありません。本人は、判断能力の程度に応じてできることは自分で行うことができます。日常生活に関する行為(日用品の購入など)は自由に行えます。後見人等は本人の意思を尊重し、残存能力を活用しながら支援を行います。
Q4. 任意後見制度のメリットは何ですか?
A4. 任意後見制度の最大のメリットは、自分の意思で後見人を選べることです。また、契約内容も自分で決めることができるため、より個別性の高い支援を受けることが可能です。判断能力が十分なうちに準備できるため、将来への不安を軽減できます。
Q5. 成年後見制度を利用する費用はどのくらいかかりますか?
A5. 申立時の費用は1万円~15万円程度です。その後、後見人等への報酬として月額2万円~6万円程度が継続的に必要になります。ただし、本人の収入や資産が少ない場合は、成年後見制度利用支援事業により費用の助成を受けられる場合があります。2026年現在、多くの自治体でこの支援事業が実施されています。
まとめ
成年後見制度は、判断能力が不十分になった方を法的に保護・支援する重要な制度です。2026年現在、高齢化社会の進展とともに制度の重要性はますます高まっています。
制度を利用する際は、まず本人の状況を正確に把握し、法定後見制度と任意後見制度のどちらが適しているかを検討することが重要です。申立手続きは複雑な部分もありますが、必要書類を準備し、家庭裁判所の指導に従って進めることで、適切な支援を受けることができます。
制度の利用を検討している方は、まず地域包括支援センターや家庭裁判所、専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士など)に相談することをお勧めします。本人とご家族の状況に最も適した方法を見つけることで、安心して日常生活を送ることができるでしょう。

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